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Babel

2017年6月4日 SPC FES 17
於 Special Colors

習作。台湾に渡って台湾の舞踊手との格の違いに打ちのめされ(というかパフォーマンス用のクラスを受講することすら許可されず)、ひたすらヨガと太極拳と筋トレだけやったあとに「それでもまだ踊る」「ひとまず肉体に還る」というコンセプトで――ありていに言って、かなり破れかぶれで作ったもの。

正直「習作なのでノーカン!」とか言いたかったのだけれど、しかし破れかぶれが高じて、これがまさかの転機になったので記念に保存。

SPC FES 18

実は初回から9割近くは出演している身体表現イベント、SPC FESに、今回も出演いたします。9月16日、イトカズナナエ名義にて出演です。「そこに在る」身体、を目指しているけど、今回の演目はちょっとハードに。

SPC Festival 18

ダンス、舞踏、マイム、演劇、身体系のパフォーマンスなど、
舞台上のリアルな身体表現を見せてくれる作品を集めたフェスティバルです。
身体表現の中でも、多様なジャンルを一日の間でみれるイベント!

開催情報
2017年9月16日(土曜日)、9月17日(日曜日)
開演時間 16:00 (開場時間 15:40)

場所 新井薬師 スペシャルカラーズ

地図 http://specialcolors.jp/?page_id=13

●9月16日 土曜日 10組(出演順ではありません)
Jiro & Omi マイムダンス
P Melancholic Circus jazz contemporary
トビハ ダンス
TabaYuki improvisatio Impro movements
イトカズナナエ ダンス
タラン・ニバキンス コーポリアルマイム
maruko ダンス
Tierra コンテンポラリーベリーダンス
ノトヤ浩一 舞踏
QandQ マイム

●9月17日 日曜日 10組(出演順ではありません)
紙田昇 KDANCE
成田護 ダンスアートパフォーマンス
南澤英幸 即興表現
犬吠埼ヂル 暗黒舞踏
秘密結社☆薔薇の憂鬱 フリーダム即興
SOD 即興ダンス
SOD 即興ダンス
Canna ベリーダンス
コハマショウゴと蒼政涼子 マイムと音
AKIRA dance community コンテンポラリーダンス

詳細、申し込み
http://specialcolors.jp/?p=1488

無垢舞踏劇場『緩行中的漫舞』-Poetry in Motion-

8月最初の日曜日、11時に家を出て迷いまくりながらなんとかバスを乗り換え、それでも開演の1時間前に台中市立屯区芸文中心実験劇場のドア前に。

本当に“ようやくここまで来た”感半端ない。素敵だなぁと憧れていた舞踊団の人と何故かお話する機会ができて、8月に来台するならちょうどそのころ舞台あるよって言われて、怪しい中国語能力でその公演が台中で行なわれることや公演だけじゃなくWS付きであることを認識し、とりあえずチケットをネット購入する。WSつきにしてはなんだか信じられないくらいチケット値段が安いので、本当にWS受けられるんだろうか、私の読み違いじゃないかとかそういうところまで実はドキドキしてた。確認メールが来て、国家歌劇院のチケットオフィスでチケットの現物が受け取れて、ちゃんと私の解釈通りに物事が展開していくのがほんとにうれしかったとかなんとか。それでとにかくここまで来た。ちゃんと、今日ここで公演があることも確認してほっとした。しかしまあ、あるものはずっとそこにあるのに、言葉があやふやなだけでずいぶん勝手に不安になれるものだ^^;;;

でもまあ、ここにこうやってポスターも出ているから、もう間違いない。あとは中国語ろくにわからないのにWSちゃんとついていけるかとかそういう問題があるのだけど…

で、ドア前1番に並んでいると、ついに開場。

観客の額にももれなく赤い印。あ、あのメイキング動画で映ってた化粧用のお皿や筆と赤い染料だ、と、なんだかえらく嬉しくなる。儀式から起こした演目が多いから、観客も劇場に入る前に“聖別”するということなのかな、ともちょっと思うがミーハー心のほうが100倍くらい大きい。

舞台は――素晴らしいというより凄まじかった。ホール入り口で「無言でお願いしますね」と言われて入ったら、舞台中央に座して微動だにしない仏像のようなダンサーが一人。最前列センターに席を占めたので、開演までの15分、ずっとこのダンサーと対峙し続けることになった。シンギングボウルの静かな音と静かにそこに在る身体。それを見ているだけでこちらの脈がどんどん上がってくる。身体が在るということの強さ。凄まじさ。

演目というより訓練の披露だった。訓練そのものがあまりに凄まじいので、あからさまに稽古場の床に置く用のマットの上に座り稽古着ノーメイクで――でも、その一連の動きをすることで身体の真実を見せてしまえる。舞台で上演するときよりもむしろ執拗に、ほとんど命の危険を感じさせるほどに繰り返される上半身の回転。主宰の林女史のインストラクションでじっくりと反り、正確に強く動いていく身体。演技を終え舞台から退いていく足取りの一歩一歩、それを支える筋肉の動きのひとつひとつ(何しろ最前列平土間なので突きつけられるようにそれが見える)。

『観』よりの抜粋の一場面を挟み(映像で見るのの何千倍も精緻な――むしろ愚直といったほうがいいような身体の在り様。儀式的でもあり、生々しくもあり、でも何より印象的なのはその身体が感傷やエゴを一切排してそこにあるということ)、男性4人の筋肉と咆哮と気合が炸裂するようなとてつもない群舞に主宰が延々とダメを出し続けるというカッコいいんだか笑っちゃうんだかでもやっぱりカッコいい一場面、そして「勢いやリズムや衝動というもの」について一席ぶったあと、前列の観客を舞台上に引っ張り出して一緒に踊るという趣向。もちろん引っ張り出されて踊りまくる。ヤバい楽しい。

公演のあとのWS。これがまた素晴らしかった。あの凄まじい存在は地道に愚直に身体を鍛えることで至るという証明。そこに至るまでの訓練の第一歩。座る、呼吸する、骨格のアラインメントを整える、滞らないフォルムをつくる、ゆっくりと立つ。100人でランダムに走る、ぶつかる、反射でよける、すり抜ける、歩く、老人の身体になる、野獣になる、咆哮する、戦う、そのあと甘ったれた猫になる。あとは椅子取りゲーム的に反射的に小さなマットに集団で飛び乗ってなんとか零れ落ちないように支えるとか。

呼吸や老人などのイメージ、野獣や猫になること、ゆっくりと立つ…はこれまでの舞踏の訓練でも経験していた。雑踏を走り抜けたりきっかけに反応するのは別の踊りの訓練で経験していた。でも、それらの寄せ集めではなく、何かもっと異質な――というよりは異質なまでの緻密さ、そして愚直さが徹底していた。そうういえば稽古に行ったら最初ずっとただ座らされたという話も聞いた。そしてついさっき、開場から開演までの15分、私の心拍をどんどん上げていったのは、その「ただ座っている」身体の存在感ではなかったか。

これだったのだ、と、腑に落ちた。私は書き手でもあるから、言葉で書けるなら書く。それを踊りで表現するのは踊りたいからだけれど、どこかに嘘がある気がしていた。不立文字ということが課題としてずっとあったけれど、そうありたいと思っても具体的にどうすればそれが出現するのかわからない。口では何とでもいえる、と、ついひねくれる。

不立文字とはこれだよ、ここに至るのは身体の力だよ、語るのではない、在るのだよ、と答えが差し出された。いや、いままでいくつもの答えが差し出されてきたけれど、それを憧れも違和感もなく初めてそのまま受け取れたのだと思う。

私はただ在るということに行き着きたかったのだ。そのためには丁寧で愚直な訓練だ。その先に求めるものがある。

大変にアタマの悪い結論になってしまったのだけれど、これでまた稽古していける。今度は迷うことなく。

このパンフレットは宝物にもお守りにもなりそうだ。

パンフレットを展開すると、美しいポスターになっていた。
えー、そういう趣向なら先に言って! クリアファイルに入れて大事に持ち帰ったのに(うっかり折っちゃったのがむちゃくちゃ悔しい)!!

 

台湾生活、再開。

2ヶ月半の日本での仕事を終えて台湾に戻ってきました。こちらでは自分が舞台に立つ表現活動は今のところ予定がないのだけれど、カラダやアタマのベースを作る場所はむしろこちらかしらという感じ。なので、《戻って》来た、って感じになる。

台北で一泊して滞在地の台中へ。ひととおり荷ほどきをしたらさっそく街へ。行先は台中国家歌劇院。

歌劇院のチケットオフィスで明日の公演のチケットを受け取って来ました。無垢舞踏劇場の緩行中的漫舞、台中公演。ネットで公演情報見つけて、気合で中国語の情報読んでチケットをネット予約。本当に自分が自分の欲しいものをちゃんと購入できているという実感がいまいちあやふやなままだった、のだけど。

こうやって現物を手にしてみると、私ちゃんと中国語のページ読めてたんだな、ちゃんと望むもの買えてたんだな、ということに改めてホッとしたり、現実をかみしめてみたり。

…こんな感じでやっていきます。